第5回:勧誘を行ない申込みを承諾する 「輸出契約書を取り交わす」①

輸出契約書を取り交わす

前述した通り契約は、申込みと承諾というお互いの意思表示の一致により成立します。しかし、後日のトラブルを防ぐために契約内容を明確にした書面を取り交わします。

この書面の取り交わしは、正式な契約書(Contract Sheet)によって行なうほか、買主が作成する注文書(Purchase Order)や売主が作成する注文請書(Sales Note)で行なう場合があります。もっとも、注文書も注文請書も契約書であることには変わりません。

一般的には、契約内容が複雑なものや大型プロジェクトなどの場合に、正式な契約書を作成し、継続的取引の場合などには、注文書や注文請書を使用します。

なお、貿易契約は、売買契約のほかその取引の形態に合わせ販売代理店契約や仲介(媒介)契約、買付委託契約などを締結する場合もあります。

タイプ条項と印刷条項

通常契約書の表面には、タイプ条項と呼ばれる条項、すなわち商品、数量、船積み、取引金額、保険の条件、支払条件、荷印などの条項が記載されます。これらの条項はそれぞれ合意にされた内容に基づきタイプライターで打ち込まれます。このようなことからタイプ条項と呼ばれているのです。一方、裏面には、一般取引条件が印刷されています。これらの条項は、すでに印刷されていることから印刷条項と呼ばれています。

印刷条項には、船積み条件条項、クレーム条項、準拠法条項、仲介条項、不可抗力条項などが印刷されています。その内容は、個別の売買契約のそれではなく継続的取引に必要な事項が記載されています。理想論からいうと、一般取引条件に関して協定した後、売買契約の条件交渉を行なうべきです。

タイプ条項については、当事者双方の合意の下で作成された内容であるので、その効力は、問題になりませんが、印刷条項については、その効力について否定する考え方もあります。しかし、無効と言い切ることも危険です。実務上は、タイプ条項の内容に納得がいかない場合には、その内容について相手方と交渉し合意すべき内容とするべきでしょう。

なお、契約書のタイプ条項と印刷条項が矛盾している場合にはタイプ条項が優先すると考えられています。
契約書は二通作成して、当事者がそれぞれ署名をして一通ずつ所有します。

一般取引条件協定書

(AGREEMENT ON GENERAL TERMS AND CONDITIONS OF BUSINESS)

一般取引条件協定書とは貿易取引に関する一般的な取決めです。この協定を、引合い後取引を行なう前までに締結し、取引の基準として明確化することが必要です。しかし実際には、契約前までに協定が締結されることはほとんどありません。

これは、特別の場合を除いて、その内容が慣習化されているものであるからです。協定は、貿易取引契約書の裏面に印刷されています。

もっとも、特別な取決めをしなければならないときは、その内容をオファーに含める必要があります。

‘An offer must be definite in its terms’

これは、英米法のオファーに関する基本的な考え方を示す英文です。すなわち、オファーの条件は明確でなければならないということです。

日本流のあうんの呼吸は、残念ながら通用しません。一つひとつ明確な条件を提示し、それに対し交渉をしていくのです。

実務上は、メールやファックスでスピーディーに取引交渉が行なわれます。

逆見本品(Counter Sample)

逆見本とは、次のような意味で使われています。

  1. 相手方の示した見本の品質では良くないという場合に、見本を改良して相手方に送るその見本をいう場合。
  2. 売手に試作品を作らせて提示するように求めることがあるが、この試作品の見本のことをいう場合。