第7回:勧誘を行ない申込みを承諾する 「貿易条件(Trade Terms)を決定する」

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輸出貨物の所有権移転時期はいつか

さて、FOB、CIF、CFRの場合、輸出貨物が売主から買主に移転するのはいつでしょうか。

実は、この点については危険負担の場合とは異なり、インコタームズにはなんの規定もありません。

契約の履行が順調にいっている場合には、売主、買主ともにあまり気にしませんが、いったん何らかのトラブルが発生するとたいへんです。

たとえば、戦争が起き、運送中の貨物が差し押さえられたとしましょう。

この場合、貨物の所有権者が敵国人であれば没収され、また、そうでなければ所有者に返還するという国際法上の取決めがあります。この場合、所有権が売主、買主のいずれかにあるかによって結果が大きく変わってきます。

それでは、所有権の移転時期は、どのように考えられているのでしょか。通常、貿易取引では、あとでお話する船荷証券(B/L : Bill of Lading)が活躍します。

B/Lというのは、船積みされたときに船会社から交付される有価証券の一つです。つまり、船積みされた貨物そのものをこの証券に化体させた「貨物の化体証券」なのです。

このB/Lがないと、船会社から貨物を引き取ることはできません。

このようなしくみから、所有権移転の時期は、B/Lが指図式によってなされた場合には、買主が輸入代金を支払い、B/Lの引渡しを受けたときに、輸出港において運送人に引き渡した時点にさかのぼって所有権の移転があったとみなす考え方が有力です。

通常の国内売買であれば、代金と引換えに品物を引き渡すという同時履行の形をとることが多いのですが、貿易取引では、それがほとんど不可能なため、このように考えられているのです。

もっとも、契約によって所有権の移転時期について自由に取り決めることができます。

所有権の移転時期

大阪港ニューヨーク港
輸出者

  1. 船積み
  2. 船会社から船荷証券を受け取る
  3. 銀行に為替手形の取立てあるいは、買取りを依頼 ⇒外為銀行→外為銀行⇒輸入者
  4. 輸入代金を支払う
  5. 船荷証券を受け取る ※船積みのときにさかのぼり、所有権が移転する。
  • 船荷証券(B/L)が輸入者に引き渡されたときに、船積みの時点に遡及して所有権が移転すると考えられています。
指図式船荷証券
指図式船荷証券とは、手形のように裏書譲渡が可能で、流通性のあるB/Lのことです。通常信用状取引の場合は、この指図式の船荷証券が利用されます。

これに対し、記名式船荷証券というのもあります。これは、荷受人(Consignee)の名前が特定されているもので裏書譲渡はできないことになっています。つまり流通性はないので す。

記名式船荷証券の場合の所有権移転の時期は、したがって船積みのときに買手に移転するとも考えられています。

なお、銀行は輸出手形の買取に応じてくれませんので注意が必要です。

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