その10:日本語の訳し方(3)

執筆者:関根幸雄(広島修道大学教授)

前回に引き続き日本語に訳すときの注意事項じゃ。言い回しを習得して実務に生かすんじゃ!

8.ship, shipment

We plan to ship your order by the Yokohama Maru on March 1.

この英文は、

当社は3月1日に横浜丸で貴社注文品を船積みする予定です。

と訳すことができますが、次の英文はどうでしょうか。

We plan to ship your order by ANA 123 on March 1.

これは

当社は3月1日にANA123便で貴社注文品を出荷(発送)する予定です。

となり、航空貨物なのでshipを「船積みする」と訳すことはできません。

shipとは「船積する」という意味のほかに航空機・トラック・鉄道など船以外で送る場合にも使われますので、訳し分ける必要があります。

shipmentの場合、「船積み」のほかに、船の場合、船積品、船荷、積荷となりますし、航空機の場合、「出荷(発送)」に加えて、出荷品、発送品、積荷と訳すことができます。

船積みや出荷(発送)のことなのか、その商品のことなのか、コンテクスト(文脈)に応じて訳さなければなりません。

9.available

availableには「利用できる、役に立つ、入手できる、間に合う、都合がつく」と様々な意味があります。では、次の英文はどう訳したらよいでしょうか。

The item is not available until the end of next month.

貿易では

その商品は来月末まで入手できません。

と訳すことになります。

なぜかといいますと、この英文では、主語が商品であり、その商品が取引されるからです。一方、主語が人の場合は、「都合がつく」となりますので、主語によって、意味を判断する必要があります。

10.various

We deal in various dairy products.

この英文は、

当社はいろいろな乳製品を取り扱っています。

でもよいのですが、

当社は各種乳製品を取り扱っています。

と訳すことをおすすめします。

このvariousですが、発音も大切なので、学生にはvary(動詞)の形容詞と説明するようにしております。また、dairyの発音にも気を付けてください。

この英文を書き換えますと、

We are a dealer in various dairy products.

となり、deal, dealer とinとのコロケーション(連語)の強さを感じます。