その24:英語学習の心得

執筆者:関根幸雄(広島修道大学教授)

持論として、「書くことを意識して読む、話すことを意識して聞く」ことに尽きると考えます。

1.書くこと

とにかく書いてみることです。これは、手に英文を覚えさせるようなイメージです。今やマークシート方式のテストやインターネットの浸透により、書くという作業が疎かになっているように感じます。

その弊害として、記述式のテストに対応した力がない、漢字が書けない、英文を書いたことがない学生たちを目にするようになりました。インターネットを利用した学習ツールも利点がありますが、書くことについては従来の手で書いて学習するほうが身につくのではないでしょうか。

例えば、次の英文をどう学習するかですが、

We cannot but cancel our order due to the significant delay in shipment.
船積の相当な遅延のため、注文を取り消しせざるを得ません

まずこの英文の意味を把握したあと、cannot but cancelやdue toの語句、delay inの用法を理解したうえで、実際に書いてみることが大切です。

そのプロセスを通じて、目で理解したことを確認し具現化(文章化)することができるようになるという信念を持っております。

2.聞くこと

聞くイメージですが、英語知識を総動員して、聞いた音声を解読するために「補正作業」をすることになります。

この補正作業とは、音声では単語ではなく塊(チャンク)のようになって発音されますので、それを単語に戻す作業です。

例えば、次の英文を聞いたとしましょう。

They are supposed to give us a call when coming to our office.

私の授業では、まず聞いた音声を書き取ってもらいます。その結果、学生たちの中には、suppose to、give us call, when come in のように聞こえるという反応が見られます。

これらを英語知識を総動員して補正する作業を行うのです。そのうえで、この英文に馴染むために音読を繰り返します。授業の終わりに、私がThey areと言ったら、学生たちが反射的にそのあとの英文を出せるようにトレーニングすると聞く意識が変わってきます。

今日、いろいろな教材や学習法がありますが、ここに書きました英語学習の心得を実践してみることをおすすめします。

これにて全24回のお話は一旦終了じゃ。
次回より「実務で使える!貿易取引における例文コラム」をお届けするぞよ!