その17:貿易で英語はなぜ必要なのか?
執筆者:関根幸雄(広島修道大学教授)
英語が必要なのは当たり前といわれるかもしれませんが、考えてみることにしましょう。
英語は、世界共通語として、国際コミュニケーションの場では不可欠といえば、そのとおりですが、それだけでしょうか。
貿易は国際間の商取引なので、 海外とのコミュニケーションでは、英語が広く使われていることは間違いないでしょう。ただし、国際コミュニケーションではなくて国際ビジネスコミュニケーションの場では、ほかにも理由があると思います。
貿易では、各国の法制度や商慣習が異なり、統一された国際的商法は存在していないため、長年にわたる貿易取引の慣習を定型化したインコタームズ(Incoterms)という国際ルールが用いられております。
そのルールは国際商業会議所(International Chamber of Commerce; ICC)によって制定され、FOBやCIFなどの貿易条件についての解釈が英語で記載されております。
そうした解釈にしたがって貿易が行われますので、英語で記載された解釈を理解することが必要になります。一般取引条件では次のような英文例がみられます。
- All trade terms provided in the Contract shall be interpreted in accordance with the latest Incoterms of the International Chamber of Commerce.
- 本契約に規定されるすべての貿易条件は国際商業会議所の最新のインコタームズにより解釈されるものとする。
ICCはフランス・パリに本部がありますが、インコタームズは英語で書かれており、フランスでも貿易では英語と認識している表れといえそうです。
また、ICC日本委員会は、インコタームズの英和対比版の中で、
- インコタームズは英文を原本としており、本書の和文は皆様のご便宜のための訳文であることを申し添え、本書のご利用をお薦め申し上げます。
とあり、正確に理解するには英文の原本を参照しなくてはならないことになります。
貿易実務を極めるためには、やはり英語なのじゃよ。ICC本部でも、そう解釈されているからのう。