その20:法的側面を考える(2)

執筆者:関根幸雄(広島修道大学教授)

問題4 条件の英訳とは

皆さんは、条件をどう英訳するでしょうか。

terms, conditionsいずれも正解ですが、貿易取引の契約書をはじめ法律文書では、terms and conditionsという表現が使われ、一般取引条件はgeneral terms and conditions (of business) といいます。

termsも条件、conditionsも条件なので意味がダブっているのですが、法律文書では正確に漏らさず表現するために同義語の重複使用がみられます。ほかには、rules and regulations, each and every, final and conclusiveなどがあります。日常的にはfair and square、quickly and swiftly, tried and trueというものがあり、こちらは語呂合わせ的な響きがあるように感じます。

問題5 be to 構文の意味とは

Shipment is to be made within the time stipulated in each contract.

この英文を「船積は各契約書に規定された期間内になされる予定です。」と和訳したのでは問題があります。
学校英語では、be to構文とは「~する予定です」と学習するのですが、一般取引条件のような法律文書では「船積は各契約書に規定された期間内になされるものとする。」となり、次の英文と同じ意味になります。
Shipment shall be made within the time stipulated in each contract.
be to構文とshallは、いずれも法的な義務を示すための「~するものとする」のことになります。

問題6 subject toの意味とは

法律文書では、「~を条件として」となります。

We make you the following firm offer subject to your acceptance reaching us by April 20.(貴社の受諾が4月20日までに当社に到着することを条件として以下のファーム・オファーをいたします。)

当社の最終確認が必要な場合は

We make you the following offer subject to our final confirmation.(当社の最終確認を条件として以下のオファーをいたします。)

これは、サブコン・オファーといわれております。

前回からの続きで法的側面を考えるのじゃ。たまには過去のコラムも読み返し復習に励むのもよいぞよ。